『おちんちんの本』 その1

①ますます増える悩みの三役 「短小・早漏・包茎」

方針イメージ

 

インポテンツをオチンチンの悩みの「横綱」だとすれば、そのインポの原因にもなりかねない「三役」とも呼びたくなるコンプレックスが、短小、早漏、包茎である。
たぶん男ならだれだって一度はこのうちのどれか一つについて、あるいは全部について悩んだ経験があるはずだ。
悩むこと自体がいわば「青春の門」であり、「男の勲章」のようなものである。
コンプレックスが一時期の「勲章」に終わらず、ノイローゼにまで成長してしまうと、人生そのものに不幸な影を落とす。そして最近の傾向として、ノイローゼにまで成長させてしまう男の子が増えているように思う。
これらの悩みがほんとうに「勲章」であった頃というのは、私たち医師が手を貸すまでもなく、仲間たちが解決してくれたものだ。包茎にしたって、

「なんだ、おまえのチンポコは。皮かぶってるじゃねえか。ちゃんと皮をむけ」

 なんていう親切なアドバイスをする先輩がいたり、早漏にしても、

「オレ、この前はじめてだったんだけど、入れる前にいっちゃったんだよ」

 なんていう相談にのってくれて、

「大丈夫だよ、次は絶対うまくいくから」

 と励ましてくれる友人がいたものだ。

 それが、いまはどうだ。修学旅行で大浴場に入るとき、中学生たちは海水パンツをはいて入るという。
お父さんといく銭湯が主流だった時代とは違うんだから、それが当たり前だといわれてしまえばそれまでだが、オチンチンを取り巻く社会環境は大きく様変わりしたということだ。
そしてその変化は、私の目から見て、必ずしもいい方向に変わったとはいいがたい。
コンプレックスを煽る変化のもう一つは情報の氾濫である。マンガ、ポルノ雑誌、アダルトビデオ・・・・・あらゆる方向から簡単に性情報は入ってくる。
銭湯で悩み、銭湯で解決していた短小の悩みは、AV俳優の巨根から引き起こされ、しかも解決する手段は与えられなくなっている。そのうえオチンチンコンプレックスを金儲けの手段と考えるような医者まで現れたから手に負えない。ほんとうにオチンチンがかわいそうだ。これでは「三役」は増えるばかりである。