雑誌『ジュバンス』記事 その5

◆Q.包茎の手術、必要だったのか?(1996/7月号)

方針イメージ

 

 つい三日ほど前、体育を教えている生徒が「包茎の手術をしたので、体育の授業を見学させて下さい。」と言ってきました。
聞くと、嵌頓包茎ということで、勃起した後、包皮が戻らなくなり、射精できない状態だったとのこと。事情を聞くとやむをえないのかと思ったのですが、包皮の翻転を繰り返せば包皮口が広がり、手術はしなくてもすむという話も聞きます。年齢や個人差などあるのでしょうが、実際のところどうなのでしょうか? (匿名希望教師)

 まず包茎には三つのタイプがあることを学習しよう。

①仮性包茎=包皮の翻転が痛みもなく簡単にできる。

②嵌頓包茎=無理をすれば翻転できるが、痛みやしめつけ感がある。

③真性包茎=包皮を翻転することが全くできない。

 日本人男性の95%は①~③のどれかにあてはまるので、はとんどの男子は、自分の包皮に対するコンプレックスを持っています。
一般的に男子は中学生前後でマスターベーションを覚え、高校生前後で、②のタイプは自分の異常に気づくのである。質問の内容をみてみると、嵌頓型の包皮が翻転したまま元にもどらなくなってしまったようです。
 下図のように、無理に包皮を翻転 したままにしておくと、bの状態か らcの状態になり、aの状態にもど せなくなります。この元にもどせな くなった状態を「嵌頓する」と言う のです。



 痛みは亀頭の感覚が慣れてなければ激痛となり、救急車で病院に運はれる人もいます。このタイプは手術が必要であり、術後1~2週間は、激しい運動ができません。この時、大変人に言いにくいことを言ってきているので、他の生徒にわからないような気遣いが必要でしょう。

 包皮の翻転をくり返した場合、包皮口が拡がる可能性は一〇歳ぐらいまでであり、大人の皮膚となっている高校生では期待できません。

高校生の包茎手術は親の承諾が必ず必要であり(最近、承諾なしで手術をする病院がある)、手術が必要な場合は夏休み等を利用して行なうように、私は配慮しています。

 しかし、手術が必要なのは②、③の場合で、①の仮性包茎の場合は手術などしなくても機能的には全く問題はありません。
実は、日本人の8~9割はこの仮性包茎なのです。

 ところが、現代男性の多くが目にする雑誌には包茎病院のウソの広告がハンランしており、そのウソにずっと侵されつづけています。
そして、手術を必要としない仮性包茎の人まで、何の医学的理由もなく、手術を受けてしまうのです。しかも広告の内容と手術の結果が一致しないという恐ろしい現実があります。

 いつ何時、自分の友人や子供が被害にあうかわかりません。正しい情報を現代人が入手することは難しく、雑誌広告のマインドコントロールがいかに恐ろしいかを教育しなけれはならないと痛感しています。

 正しい知識を教え、広告の内容のウソを読みとるカを身につけなければ、悲しい十字架を背負っていかなければなりません。
前途ある若者に十字架を背負わせないようにすることが、どうしても必要な恐ろしい日本になっています。