雑誌『ジュバンス』記事 その3

◆何故、包茎広告にウソがまかり通るのか?(1994/6月号)

方針イメージ

 

 前回は「切らずに治す」という広告のウソについて述べた。同様のキャッチフレーズに「傷跡を残さない」というのがある。

 これも全くのウソである。切つて縫うわけだから、必ず傷は残る。仮に「外国の最新美容外科の技術を駆使しうんぬん」といっても、必ず切れば傷跡は残るのである。しかも、実際に、外国でそれを専門に勉強してきた医者など一人もいない。

 にもかかわらず、病院の広告で、「傷跡を残さない」と書いてあれば、それと信じてしまう、そこが大きな落とし穴なのだ。

さらに、「親切・ていねい」という言葉。これも泌尿器科の広告には必ず書いてあるのだが、私が他院で行なった患者の手術跡を見て、ていねいにやっている、と思ったことは-度もない。正直言って、かなり雑だ。

 しかし「親切」は本当だ。大事なお客さんを一人でものがさす手術するためには、当然のことで、それは医療というより「商売」だからだ。

 「熟練男性スタッフ」という語彙もよく使われる。伺を根拠にそう言うのか不可解だが(おそらく医学教育など受けてない)、たしかに電話で応対することには熟練している。それは彼らが、電話の向こう側にいる悩める君たちを、いかに病院の門をくぐらせるか、それが最も重要な仕事だからだ。ちなみに、スタッフが親切だからといって、医者の腕がよい、という判断はあまりにも危険すぎる。

 このほかにも「全国どこでも受けられる」(注・一見大規模で安心感があるようだが、本当の名医は数が少なく、包茎病院の数ほど名医はいない)など、広告のウソをあげればきりがない。

 こうした″甘いウナ″にはまらない基本は、「広告の内容を見ない」「信じない」ことである。

 しかし、どうしても気になるなら、恥かしいと思わず、次の機関に相談してみるといい。
 良心的に相談にのってくれる医療情報センターだ。

・COML(コムル)
 電話 06-314-1652

・セフティジャパン
 電話 0424-96-3641

  それにしてもなぜこうした業界には、ウソの広告がまかり通るのか。それは、包茎病院や美容外科は医療でなく、利益企業だからである(注・一般の健康保険を使って診療を受ける病院とは違う)。中には、すばらしい技術をもつ医師もごくわずかながらいるが、問題は、経営者が医者ではなく、無資格者の場合(法律上は違法)である。

 当然、医の倫理などというものは全くない。だから平気でウソの広告が書ける。そういう病院に務める医者はほとんどアルバイトであり、金の盲者の経営のもと、機械的手術となるのは当然だろう。

 ちなみに、ある大手クリニックの広告料は、月一億円といわれる。それだけの広告料を払っても十分利益があるのだ。この手の企業(!)では、包茎に関していえば、「切らずに治す」「傷跡を残さない」「亀頭増大法」を ″三種の神器″といい、これを広告に入れておきさえすれば、新しい客は次から次へと訪れる。

 仮にそれがウソでも、手術をしてしまってからでは誰にも相談できず、ましてやオチンチンのことであり、表ざたにする勇気もない。「傷はそのうち目立たなくなるから」と、時間稼ぎをすれば、やがて泣き寝入りする。

 こういったことを百も承知の上で行なっているのである。しかもこうした告発の記事は、君たちの読む若者向け雑誌には絶対といっていいほど載らない。そんな記事を載せたら、大事な広告主を失うからである。その意味で、マスコミの罪はきわめて大きい。